半血の兄弟姉妹が多数居た方の財産管理(遺産承継)業務の事例(宇治市在住80代女性Oさん)
相談前
Oさんには独身の姉が居ました。両親は離婚後に他界しており,姉が亡くなった場合の相続人はOさんだけと思っていました。しかし,相続の手続きをはじめようとすると両親それぞれの再婚後の子である半血の兄弟姉妹の協力が必要であることが分かりました。Oさんは半血の兄弟姉妹との音信は途絶えており,連絡先はまったくわかりません。また,亡くなったOさんの姉は宇治から離れた遠隔地に居住していて,預貯金は当地の地方銀行や信用金庫がほとんどであり,高齢のOさんが預貯金の解約や払戻しの手続きをするのは大変です。困ったOさんは当事務所に相談に訪れました。
相続関係
被相続人とOさんの父方の半血の弟の代襲相続人が3人,母方の半血の弟が1人,半血の妹の代襲相続人が2人居り,Oさんを含めて7人の相続人が居ることが分かりました。
みらい司法書士事務所の解決方法
亡くなったOさんのお姉さんの相続財産について,司法書士法29条同法施行規則31条に基づく相続財産管理人として,遺産承継業務を行いました。戸籍謄本を取得して先に述べた相続人を特定し,次に相続人の住民票上の住所を特定しました。
預貯金のある金融機関から残高証明を取得し,相続人全員に相続財産があることをお知らせしました。その後,Oさんを含む相続人全員による遺産分割協議が整った後に,預貯金の払戻しや負債の精算をし,遺産分割協議に基づいて残余の金銭を相続人の皆さんにお渡ししました。
解決後
当職が業務に取り掛かってから順調に他の相続人との連絡を取っていき,大きな問題もなく業務が完了したことにOさんは驚いていました。最後に資料を返却したのですが,戸籍等は35通もあり,その多さにまた驚いていました。
司法書士からの一言
この事例では,Oさんも他の相続人の方も法定相続分での計算による遺産分割に同意しましたので,遺産分割協議はスムーズに整いました。
音信が途絶えていた遠い親戚に依頼を受けた司法書士から相続手続に協力して欲しいとの手紙を受け取った相続人の方は,当初は驚き,中には不信感を持たれた方もいたようです。しかし,司法書士法29条同法施行規則31条に基づく相続財産管理人は全ての相続人のために公正中立の立場で遺産承継業務を行うこと,相続財産はOさんからも切り離して分別管理し,入出金の記録を全て残すことを説明し,残高証明等の第三者発行による資料を添えた財産目録を開示していたことで信頼をいただき,全ての相続人の方から遺産承継業務をお任せいただくことができました。
Oさんのように相続人間で音信が途絶えていて信頼関係が醸成される下地の無い状況では,不信感から遺産分割協議が整わず,紛争化してしまうことがままあります。
公正中立な第三者として法律専門職がかかわることで,紛争を未然に防いでスムーズに相続手続ができる可能性は高まります。紛争化してしまった場合には弁護士法72条の規定により,司法書士は一方の当事者の代理人として相続手続にかかわることはできません。しかし,一方の当事者の代理人に成れないからこそ,司法書士の中立は担保されます。
Oさんのような事情の場合は事前に司法書士に相談することをおすすめします。
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